マティアス ヘフスさんの教え

 

日本トランペット協会の北村源三会長、のまセンセが絶賛される、世界的な名手のマティアス・ヘフスさんが2005年春に日本縦断コンサートとクリニックをされました。

ジャーマンブラス、ハンブルク響で活躍され、現在はハンブルク音楽大学教授として、日本人では辻本憲一さん、佐藤友紀さんをはじめとする皆様に指導をされています。

 

先日送付されてきた、日本トランペット協会の会報に、日本でのクリニックの内容が記載されていましたのでご紹介致します。

 

1)ウォームアップについて

20分間毎日同じ事を行う。内容としてはスラーやリップスラーなどフレキシビリティに関するもの、ダブルタンギング、トリプルタンギングなど、毎日同じことを行うことによって、その日の調子を自覚する事が出来、調子が悪い時の調整もできるようになる。

2)演奏前の準備の仕方は

経験を積むことによって学んでいく事が出来る。

たとえば子供は何度も転ぶながら、雪の上での歩き方を覚えていく事ができる。このように人間は失敗してみると、なぜ失敗したかを考え、次にその失敗を繰り返さないように工夫する。又失敗や成功を繰り返すうちに、どのような場合がうまく成功するかそのような場合が失敗するかがわかってくる。これをさらに繰り返してるうちに、意識しなくても自然に(演奏前の正しい準備の仕方や心構え等)が身についていく。

3)演奏前に考えることは

どういう演奏をしたいか。どういう響きを作り出したいか。

4)(技術だけでなく)音楽性を養う方法は

  技術面も大切ではあるが地道に積み重ねていくしか方法は無い。やはりトランペットを自由にコントロールする事が出来ないと音楽も十分に表現する事が出来ない。

  技術が全く無い段階で、音楽的なことのみを追求していても演奏としては成り立たない。しかしだからといって技術だけを先に学び、あとで音楽を学ぶということも出来ない。常に技術と音楽を互いに伸ばし合う形で学ばねばならない。

  その上で音楽性については「イメージ・想像力を持つ」「ファンタジーを描く」トレーニングをするべきだろう。即ち「いいもの・理想を描く」ということである。これを身に付ける一番の方法は「本人の自覚」である。本人が何をやりたいのかを描く事が出来れば、先生はそれを実現する為の方法について指導する事が可能である。

5)トランペットの役割について

トランペットはこの1020年で役割が代わってきた。この流れの中でみると、トランペット奏者は、弦楽器やピアノと、色々なスタイルでもっと一緒にやる事が必要であろう。このような演奏のなかで考えなければいけないのは、表現を豊かにし、自分の考え方を前に出していく事である。

6)日本のトランペット奏者へのメッセージ

トランペットを演奏する際に重要なことは、細かい事をあれこれ考えるのでなく、まずは「音楽をする」ことである。その上で、他の楽器と一緒に演奏している事も忘れないようにする。

 

技術と音楽性が並存してこそ、良い演奏が出来るという事ですね。その為に、自らが求める音楽を創る事。そしてその音楽が他の楽器や奏者とどう融合するかで決まるという事だと思います。SHUNも精進しなければ・・・・。

 

追記)インタビュアはSHUNのお知り合いの横浜交響楽団の名手中村肇さん(JTA理事)です。