私のコレクションの中に、4本ピストンのピッコロトランペットが有ります。

普通ラッパのピストンは3本ですから「何でだろ〜?」と思われる方がおられると思います。

 

トランペットは口や息の使い方で、開放ポジション(何も押さない)で幾つかの音が鳴ります。これを倍音といいます。

普通は下からド、ソ、ド、ミ、ソ(シ♭)ドの音が鳴ります。この音だけを利用して演奏出来る曲もあり、軍隊では起床ラッパ、就寝ラッパ、突撃ラッパ等はそうやって演奏されています。(ピストンが無いですね)

 

ではピストンは何の為に有るのかというと、倍音の間の音(半音階)を作るために、ピストンを押すことによって、一時的に管の長さを長くして低い倍音楽器にするシステムなんですね。

2番のピストンを押すと2番管に息が入り、半音低い倍音楽器になります。

1番は同様に1音、3番は同様に1音半低い倍音の楽器になります。

という事は、1番と2番を一緒に押さえると1音半低い倍音になりますので、3番を押すのと同じですね。

上のド以上の音階は倍音が引っ付いていますので、通常の運指では3番を押す事が無いのにお気付きになりましたか?(ソの♯では2+3の運指が基本ですが、1だけでも出るんですよ。)

 

しかし下のソ以下の音を出すときには、倍音のドとソの間が広いので、1+2+3と全部押さないとレ♭(ド♯)の音が出ませんね。

 

そしてトランペットの運指上の最低音は下のソ♭となっていますが、もしそれより低い音を出さないとならない時はどうしましょう?(下の倍音は1オクターブ下です。)

その時には4番ピストン(=1+3と同じ長さの管=2音半低い)で管を長くして倍音を作るしか方法が無いのです。

このシステムなら、3本ピストンより更に2音半分低い音が出せるようになります。

 

ピッコロトランペットで4本ピストンを採用しているのは、普通のB♭管のソ♭しか3本ピストンの楽器では出ませんが、レ♭まで出す事が出来ます。

 

只でさえ難しいピッコロトランペットですから、そんな曲芸みたいなポジションを自由に吹けるようになるのは非常に難しい技です。けど1音だけ下にミを出さないといけない曲(吹奏楽編曲版のトランペットボランタリーのような)の場合は、4本ピストンのピッコロトランペットでしか演奏出来ないのですね。

但しトランペットは管を長くすればするほど息と音程のコントロールが難しくなり、音が篭り不安定になります。

ホルンがトランペットに比べ、大変音程やアタックが難しく、ミストーンが出やすいのはそんな理由なんですね。(ホルンは管が細いのに全長が長い)

 

フリューゲルホルンで4本ピストンの楽器が有りました。確かGETZENというメーカーでした。この楽器も同様に一般に使用されるより低い音を出したいので作ったのしょうが、余りに重い(フリューゲルホルンは只でも重いのに)ので普及しなかったのではないかと思われます。

 

ラッパは何でも有りですから、色んな製作者が色んな試みをしていますね。

以前にジャイアンツの装飾を施したポケットトランペットがオークションで出展されていました。

ヤマハから6310ZSのトラッパが発売されましたね。けど高すぎ!5万円までならなあ。

 

参考)トランペットの歴史(Trumpet Player 野間裕史さんのサイトから借用させていただきました。)

http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tpnoma/trp/rekisi/rekisi.html

 

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